コラム

JUST There(そこが訊きたい)! 斉藤先生(20)

(前回よりつづく)

――  個対個の微細なコミュニケーションとしての治療というのは、たとえば、どういう例でお話しすると、精神医学になじみのない人にはわかりやすいでしょうね。

斉藤先生:たとえばパラフィリア性倒錯)みたいな、倒錯がありますよね。そう言ってよければ、非常に個性的な倒錯です。

……というのは、なぜ或る人はのぞきで、或る人はおさわりなのか、と。それも、同じことを繰り返してやるじゃないですか。おさわり専門の性倒錯者が、のぞき専門へ転向することはあまりない。あたかも一つの道を極めた職人が、べつの職業に就こうとしないかのように。

あれはなぜなのか、と。それが私の関心を引くわけですね。職業選択から配偶者選択から、何から何まで、あらゆる人間の行動の根底に、私は倒錯を見出そうとしているわけですよ。



(つづく)