入り婿状態の父は麻雀ばかりして 母は働き詰めだった。 そんな母は私に言うのだった。 「あんたさえいなければ、 あんなお父さんとはすぐに離婚できるのに。 あんたさえいなければ、 私はもっと幸福な人生なのに。…」

  息子が生まれたあとも、 私の自殺念慮は止まらなかった。 できるだけ早く、死んでしまいたかった。 息子は元夫の子だから、彼に何も期待はできないと思っていた。 ところが息子は、 いつも私のそばにくっついて、 私の幸せだけを願っているようなのだ……。

  外では、私は良い母親を演じている。 でも、息子と家に帰り バタリとドアを閉めたとたんに 私は豹変……。 そして、幼い息子を相手に何時間もなじってしまうのだ。 「さっきはよくも恥をかかせてくれたわね！」

  子どものころ、 「この人生、早くやめたい」 と願いながら生きていた。 だから、同じような思いをする子どもを 一人でもこの世界に送り出したくなかった。 自分の子を産むなんて、想像したこともなかった。 ところが……。

  ママ友の中には 人とつながるのがうまい人たちが たくさんいる。 そもそもママであるということは 男の人とうまくつながったということだから ツナガルのに長けている人たち。 そういう中でママをやっていくのはつらい…… 自分の親が親をしてくれなかったものだから 自分がどのように親をしていいかわからない……

  「片づけられない私」（１）～（２６）の全篇が一挙にごらんいただけます。

  収録を終えて1か月後 私たちは再び集まって 自分たちの映像を見て 感想を交換し合いました。 今までひたすら外へ隠してきた 「汚部屋」をインターネットで公開して はたしてどうであったか・・・。 どのような心境の変化があったか・・・。

  部屋にはお菓子の空き箱や食べかすが満載 それでも深夜に家を出て コンビニからコンビニへとハシゴする・・・。 さらなるお菓子を求めて？ いいえ、求めているのはお菓子じゃない。 では、何？

  「ゴミ部屋と買い物依存は何か関係ある？」 「おおありです！」 マキが知る人ぞ知るゴミ部屋スパイラルについて わかりやすく図入りで説明　☆

  実況検分に来た警官が言った。 「これでよく、火事になりませんでしたね」 汚部屋の中で餓死していた父・・・ 私も父のようになっていくのでは？ マキが自虐的な不安を語る。

  片づけられない心の奥底には 「片づけるだけムダ。 どうせ誰かに壊されるでしょ」 という気持ちがゆらめいていることが わかってきました…。

  部屋のゴミの下には 怒りがたまっていることが しだいに明らかになってきました。

  片づけれない原因は、 部屋ではなく心にあるのかも・・・？ 感情の浮き沈みの激しさに、 「ものを片づける」 という日常現実的作業が 追いついていきません。

  「無気力」というと おそらく一般の人が想像するのは、 身体を起こすのもかったるい、 外に出るのも面倒くさい、 力がなくて寝たきりでじっとしている状態。 でも、必ずしもそうではない……？ 「無気力」という状態を考えなおします。

  家族構造が変わることで きちんとした人が片づけられない人になったり その逆になったり します。 「家族とゴミ」の問題は、 そのまま「家族のゴミ」の問題でもあるのでしょう。