用語集

アルコール中毒

フランスの思想家ジャン=ジャック・ルソーを翻訳して、日本に民主主義を紹介した中江兆民(なかえ・ちょうみん)は、1891(明治24)年「亜爾格児中毒(アルコール中毒)」を理由に衆議院議員を辞職しました。これが、日本でアルコール中毒という言葉が公に用いられた最初と考えられます。

しかし、今日ではこの表現は正しいとは考えられていません。
アルコール中毒、もしくはそれを略して「アル中」という人がいますが、字の通りに解すると、「アルコール」の「毒」に「中(あた)る」という状態は、お酒を飲んで酔っ払っている状態、すなわち酩酊(めいてい)のことを指します。いくらお酒に強い人でも、飲んでまったく酔わない人はいません。つまり、すべての人間はアルコール中毒になるために酒を飲む、ということになります。

誤解している人々が言いたいのは、おそらくアルコール依存症のことでしょう。

また酩酊(めいてい)という言葉も、へべれけに酔っ払った状態である泥酔(でいすい)と間違われることが多いようです。頬がほんのり赤くなるかならないかの状態であっても、それはアルコールを摂取した反応ですから、立派な酩酊状態です。