用語集

嗜癖(しへき)

嗜癖(しへき / addiction)とは、一般的にはアルコールや薬物への依存症がまっさきに思い起こされるかもしれませんが、もともとの意味は「有害な習慣」にすぎません。

たとえば仕事や運動は、人間の生活の中でふつう「良いこと」と考えられます。しかし、仕事ばかり、運動ばかりやっているとなると、これはどうでしょう。やりすぎて心も身体も害している、本人だけでなく周りの人も迷惑している、となるとこれは、ただ「良いこと」と考えて済ますわけにはいきません。
あげくの果てには、それをやめていると本人は落ち着いていられず、精神的におかしくなって、いろいろ周囲に迷惑をかける、となると、これは病理であると認めざるをえません。
この場合は、仕事や運動も嗜癖の対象と考えられるわけです。

私たちが考える嗜癖には、摂食障害ワーカホリック、ネット・ゲーム依存、買い物依存、窃盗癖、痴漢行為など幅広い問題行動が含まれており、その多くに対応する自助グループが営まれています。

嗜癖中毒は混同されることが多いですが、これら二つは対照的に異なります。中毒と違って、嗜癖はそれを行う本人の意志がどこかで関係しています。乱暴な言い方をすれば「嗜癖は本人が好きでやっている」ということになりますが、ふつうは嗜癖をやめようと苦労している人が多いので、その言い方がすぐさま腑(ふ)に落ちることはあまりないかもしれません。

物質嗜癖過程嗜癖関係嗜癖に大きく分けられますが、すべての嗜癖には共通して、根底には母子関係をはじめとする人間関係への問題があり、強迫的な(obsessive)こだわりがあります。