用語集

ニコチン嗜癖

ニコチン嗜癖(nicotine addiction)とは、たばこをやめられないことをいいます。「ニコチン中毒」「たばこ中毒」という俗語は、正しい表現とは言えません。ひと昔前までは、日常的にたばこを吸うことを「喫煙習慣」と呼んでいましたが、WHO(世界保健機構)をはじめとする世界的な喫煙への見直しの中で、それは嗜癖であるという見解になってきました。

喫煙行為によって摂取され、脳の中枢に作用するニコチンという物質に嗜癖している状態と考えられるためにこの名称があります。ニコチン(nicotine)はアルカロイドの一種で、ヒトだけでなく昆虫などにも効く強い毒性を示し、その毒性の強さは青酸カリの二倍以上とも言われますが、ニコチンそのものには発がん性は認められていません。
一方では、喫煙者、とくに意識的にたばこをやめない人の中には、たばこは、16世紀にアメリカ大陸からヨーロッパ世界へ導入されて以来の「文化」であり、近年の禁煙への動きを「禁煙ブーム」「禁煙ファシズム」などと批判する人もいます。

喫煙と文化との関係について、今後もたくさんの議論が出てくることでしょう。
しかしいずれにせよ、たばこを吸う人の吐き出す煙や、たばこの先から立ちのぼるる煙を吸い込む受動喫煙については、たばこを吸わない人にとっては多大な苦痛です。喫煙の可否とは別個に、飲食店などにおける分煙制度はもっと真剣に考えられてもよいかもしれません。
たばこがやめられないのは病気の一種である、という見地から禁煙外来という診療科目が医療機関で見られるようになっています。
医療の力を借りるのはためらわれる、という方のために私たちJUSTでは、自助グループ「ニコチン・アノニマス」を運営しています。