拒食症 |
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拒食症(きょしょくしょう / anorexia nervosa)とは、摂食障害が示す症状の一つで、自分が太っていると思いこむあまり、極端なダイエットを続け、痩せ細っていくことをいいます。 本人は痩せていくことで気分的に活き活きとして、精神には何ら問題がないかのように考えられてしまいますが、じつは重い心の病気であり、そのまま放置すると栄養不調、低血糖、脳の委縮、電解質代謝異常、低カリウム血症などにより死に至ることもあります。 神経性無食欲症、神経性食欲不振症、神経性食思不振症などともいいます。 宗教的な断食や、ハンガーストライキなど、昔から拒食症と似た状態が人為的に作り出されることはありましたが、拒食症の場合は根底に体型への異常なこだわりがあり、体重が減れば減るほど、まるでポイントが稼げたかのような自己満足を得るところに特徴があります。 健康であればあるほど、極端に痩せていけば、身体が食べ物を欲しますから、一気に過食症に転じたりします。そのことをリバウンドと呼びます。 拒食と過食を繰り返しているうちに、自分ではコントロール不能の収拾がつかない状態になっていくこともありますが、医療機関や自助グループにつながり、心の中を見つめなおすことで、じょじょに治っていくことができます。 1999年には、摂食障害の患者は、健常者よりも高い確率で、幼少期に性虐待を含む児童虐待を受けた経験をもつという報告がなされました。 スリムな女性の体型は、けっして普遍的な価値ではありません。つまり、たとえば「健康」という概念のように、人間の歴史のなかでつねに良いものとされてきたわけではないのです。現に、アフリカの一地方には、いまも女性は肥っているほうが魅力的だとの価値観を持つ文化があります。 日本において、スリムな女性の体型が価値あるものとして目指されるようになってきたきっかけは、1967年イギリスのモデル、ツイッギーの来日でした。 スリム礼賛とも呼ぶべきその文化的風潮は、先進国において半世紀近くも続きましたが、近年のファッション業界はふたたび健康美に価値を置く流れに戻ってきました。 |