用語集

精神力動連続性の原理

精神力動連続性の原理とは、単に力動論とも呼ばれ、人間の心にかかわる基本的な原理です。それは、どの人の心も同じ法則で動いていて、エネルギーとして時間的に連続していて、形を変えられるというものです。

たとえば、あなたがあるときに覚えた喜びや悲しみは、その場その瞬間で消えていくものではありません。翌朝になっても、まだ感じていることは往々にしてあります。あなたがそれらをその場で忘れたつもりになっていても、あなたの心はそれを記録しています。その証拠に、おぼえた感情は、違うかたちになってあとから出てきます。

これは、心の動きが持つエネルギーは、瞬時に消え失せるものでなく、時間的に継続するものであることを示しています。

さらに、どんな悲しみや悔しさをおぼえても、それをたくさんの人に語ったり、心をこめて絵に描いたりすると、自分の中の感情が薄らいでいき、楽になったりするものです。

これは、心の動きが他の形に置き換えることができるエネルギーであることを、またそうであるからこそ発散されることを示しています。

このような心の動きは、誰もが経験します。モーツァルトのような天才でも、まったく音痴な凡人でも、心の病いを持っているとされる人も、まったく健康な心を持っているとされる人も、赤ちゃんも大人も老人も、人間であるかぎり、この点に関しては例外がありません。それは、すべての人が同じ法則で心が動いているからです。

フロイトはこの原理を、物理学のエネルギー保存の法則をもとに考えついたと言われています。