虐待 |
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虐待(ぎゃくたい / abuse)とは、人が保護しなければならない相手(人や動物)をしいたげて扱うことをいいます。 ここでは、人を対象にした虐待について説明します。 人は、大人でも子どもでも、お金持ちであってもなくても、社会的な地位がある人でもない人でも、ほんらい人間としての価値は等しく尊重されるべき存在です。親子でも夫婦でも介護でも、片方がもう片方を保護しなければならない状態でも、その価値の等しさは変わりません。 しかし、保護しているほうは、相手を保護しているぶんだけ、より有利な立場にあるともいえます。その立場を利用して、相手をいじめたり、おとしめたりして、相手の主体をそこなわせることを虐待といいます。保護する-保護されるという関係は、時間とともに変化して、虐待の立場が逆転することもあります。 虐待というと、すぐ「なぐる」という行為が思い浮かぶかもしれませんが、「なぐる」に代表される身体的虐待のほかに、心理的虐待、精神的虐待、情緒的虐待、経済的虐待(金銭的虐待)、性的虐待(性虐待)、ネグレクトなどがあります。 「なぐる」という形の虐待の底辺にも、なぐられた痛みによる損害もさることながら、なぐられたことによって心が痛み、主体がふみにじられる精神的虐待がひそんでいます。 虐待者は、虐待する対象との関係の中で、つねに保護者など有利な立場にあるために、自らの虐待という行為を否認して、対象が子どもであれば「躾(しつけ)」、老人であれば「介護」など、社会的にすでに正当化された名目にすりかえることが、しばしば行われます。これらのすりかえを、周囲や社会がどのように見抜くかが今後とも課題となることでしょう。 |