用語集

リストカット

リストカット(「手首切り」の意)は、自傷行為の一種であり、その代表的な症状で、自分の身体の皮膚をカッターナイフなどで切り、傷つけることをいいます。よく「リスカ」と略されて言われます。
傷がつけられる部位は、背中の真ん中など自分の手が届かない部分を除いた全身が対象となります。そのため英語では skin-cutting, slashing などといい、リストカット(wrist cut)とはいいません。

なぜ手首が、傷つけるのに代表的な部位となるかというと、手首を切ると大量に血が出て死ぬという俗説があるからだと思われます。じっさいには、手首を流れる血管を切って死に至るのは容易なことではないのですが、そうした俗説がある以上、手首に傷をつけることは、少なくとも自分は死のうとした実績を示すのに役立ちます。

なお、自傷行為と自殺企図、また「自殺を図ること」と「自殺を図ったという過去を示すこと」は概念として別個のものです。

リストカットは、その人が言葉にできない悲鳴です。
本人は、自分の身体を傷つけることをやりたいし、また、言葉に出して「やりたい」とも言うことでしょう。
しかし、誰しも自分の身体を傷つければ痛いし、痛みはほんらい不快なもののはずです。傷は残って、醜い痕跡にもなります。そのことも、ほんらい不快なことのはずです。
しかし、もともと不快な行為から、その人は何かを得ているわけです。そのため、その人は自分の身体を傷つけることで、その人の言語能力では言葉にできない悲鳴を表現していると考えられます。