病名 |
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病名(びょうめい / name of disease)とは、治療者が患者を治療するにあたって、患者が示している症状に注目し、それをもとにどの病気にあたるかをふるい分けしたときの名前のことです。 病気が心の病いであるときには、患者にとっては、病名はあまり意味がないことがよくあります。 たとえば、あなたがPTSDだと思って、医療機関にかかったところが、治療者から、 「話を聞いてみると、あなたが味わった体験はトラウマではない。なぜならば、トラウマの基準を満たしていないからだ。 だから、あなたの状態をPTSDと診断することはできない。 しかし、あなたの出している症状は、かぎりなくPTSDに近いものだから、PTSDに準じる治療をおこないましょう」 と言われたとしましょう。 そのとき、医師が下した診断や病名は、あなたにとって一体どんな意味があるでしょうか。あなたは、苦しんでいる症状から解放され、楽になるならば、病名など何でもいい、と考えることだってあるかもしれません。 そんな一方では、なぜ自分の症状が起こるかわからず苦しんでいる人は、自分の状態に病名が与えられるだけでほっとすることも少なくありません。そういう意味では、たしかに病名に価値があるのです。 自助グループなど、医療以外の方法で回復をはかるときには、そもそも診断を下す人がいませんから、病名はつきません。また、病名は問題でもありません。 どのような病名を治療者からもらっているにせよ、集まってくる仲間の心や体験の奥底には、非常に似通ったものがただよっていて、それらを分かち合うことにより、回復への道を歩んでいけるのだということを、参加者たちは実感して知ることになります。 |