用語集

パワーゲーム

パワーゲーム(power game)とは、人間関係のなかで繰り広げられる、力の張り合いのことをいいます。

国際政治学などでは、大国と大国のあいだで繰り広げられる政治的駆け引きを指しますが、どんな大国でも、動かしているのは人であるので、それも私たちの日常生活に巣食っているささいなパワーゲームの延長にすぎません。

あえて訳すと「権力闘争」となりますが、その大仰な響きからは1960年代風の政治闘争や革命を想起する人が多いために、新しい意味で使うべく「パワーゲーム」とカタカナ書きにしております。

支配することや権力を持つことは、人間の欲望の一つです。そんな欲望などなくても、人はほんらい生物的に生きていくのに支障はないのですが、ほうっておくとカビが生えてくるように、人の心にはとかくこうした欲望が生まれてきます。また同時に、人間は欲望が実体として存在するように思えてしまう愚かしさを持っています。
パワーゲームは、その愚かしさの産物といってよいでしょう。

人間関係にパワーゲームがひそんでいるために、多くの嗜癖を初めとした問題行動が助長されます。たとえば、同僚が先に出世してしまったといって、やけ酒を飲み始めたサラリーマンが、そのままアルコール依存症になっていく、などの例です。

依存症から回復しようというときに、まず重要になるのが、意識もしないでおこなっていた、こうしたパワーゲームをやめることです。それによって、かなりのストレスが日常生活で感じられなくなり、そのぶんだけ嗜癖対象への欲求も少なくなるのです。