ブラック |
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クラウディア・ブラック(Claudia Black, Ph.D, M.S.W)はアメリカのソーシャルワーカー、社会心理学博士でアダルトチルドレンのという用語の生みの親として国際的に知られています。 公式ホームページの冒頭で、ブラック博士は、 「わたしは、まずなにより、嗜癖に影響された家族に育つことがどんなことであるかよく知っています」 と述べていますが、これだけを読むと、彼女がソーシャル・ワーカーとして多くの対象家庭を見てきたからであるという印象を受けるかもしれません。 しかし、それはじつは彼女自身がそういう家庭に育ったからであるということを、ブラックが日本の精神科医、齊藤學に語っています。 ブラックは、コロンビア・パシフィック大学で社会心理学の博士号を、またワシントン大学でソーシャル・ワークその他の修士号を取得しました。現在、ラスベガス回復センター、アラノン家族グループの代表その他、嗜癖問題に関係する多くの団体の理事などを兼任し、現在はアメリカの北西部、太平洋沿岸地方に、夫と犬といっしょに暮らしています。 彼女は、家族システムや嗜癖、依存症の研究において、1970年代から先駆的な研究を手がけていましたが、アルコール依存症の親を持って成人に達した人たちに、いくつかの共通点があることに気づき、彼らをAdult Children of Alocoholic (酒害家庭の子どもたち)と名づけました。この語は略されてACOA、さらに短縮してACと言われるようになり、こんにちのアダルトチルドレンの起源となりました。 1981年『It will never happen to me』(邦訳『私は親のようにならない』1989年 斎藤学 訳)の中で、親にアルコール依存症の患者を持った子は、大人になって逸脱的な反社会的行動を起こしやすいというそれまでの定説に反論を唱え、そういう人々はむしろ少数派で、反対に80%は静かな性格から忘れ去られていくことが多いと主張しました。 この研究は、嗜癖者を対象とする専門家のあいだで高く評価され、またACという概念は当事者や当事者の家族たちのあいだに広まっていき、1980年代にはアメリカではACムーヴメントという市民運動が起きるまでになりました。 アダルトチルドレンという概念は、日本にされてからはまったく異なる展開を遂げることになりました。詳しくは「アダルトチルドレンの日本での展開」をごらんください。 ブラック博士には、他に ・『Changing Course』 などの著作があります。 |