治癒 |
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治癒(ちゆ)とは、医療の現場から見て「治る」こと、すなわち病気の状態にあった人が、病気をする前の状態へ戻ることをいいます。 たとえば左の奥歯が虫歯だった人がいるとしましょう。この人は、左の奥歯を削って詰め物をし、治ったときに、「虫歯は治癒した」と表現されます。 しかし、そこが虫歯になったということは、もともとこの人はじゅうぶんに歯を磨く習慣がないなど、他にも虫歯になりやすい要因がそろっていたことも考えられます。だから、左の奥歯の治癒によって、虫歯という病気が、この人から永久に離れたとは考えられません。 ところが一方では、今度は右の奥歯が虫歯になったとしても、「左の奥歯は治癒しなかった」とは考えられません。左は左で、ちゃんと治癒したのです。 ただ、この人は虫歯という病気からは、いまだ回復の途上にあるといえます。虫歯は一生かかる可能性がありますから、回復は一生続くともいえることでしょう。 一度、治癒したと思っていた人が、ふたたび症状におちいることを、依存症からの回復の現場では「スリップ(slip)した」などといいます。 医療の用語としては、完全な治癒とまで行かないまでも、臨床的に、あるいは社会生活を営むうえで問題のない程度にまで状態がよくなることを寛解(かんかい / abatement)と呼びます。 |