ASD |
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ASDとは、急性ストレス障害(きゅうせいすとれすしょうがい / Acute Stress Disorder)といい、その人の存在をあやうくするようなトラウマを体験したあと、それを原因とする神経症のような症状が出ることをいいます。PTSDとよく似ていますが、ASDは症状が一過性のもので、一か月ほどで自然になくなるもの、それ以上続くようならばPTSDと診断されることになっています。 ASDやPTSDの研究は、19世紀には実質上行われていたのですが、20世紀前半に一時的におこなわれなくなり、1923年にアメリカの生理学者キャノン(Walter Bradford Cannon)が『外傷性ショック』(Traumatic Shock)の中でストレスによるアドレナリンの緊急反応を研究し、1941年にはカーディナー(A. Kardinar)が『戦争によるトラウマ後遺症』(The Traumatic Neurosis of War)をあらわしました。 そこでは、戦場から帰ってきた兵士が、飛行機の音を聞いただけで、あるいはその時の音を聞き、臭いを嗅いだだけで、空襲を想起してパニック状態になる驚愕反応が言及されています。動悸がしたり、血圧が上がったり、情緒不安定にもなる、いまでいうパニック発作のことです。 これらの症状は、第二次世界大戦後も、インドシナ戦争から帰還してきたフランス兵にも見られ、さらにベトナム戦争で大きくクローズアップされていきました。いっぽうではレイプなどの性虐待の被害者となった女性にも同じ症状が認められ、これらの概念はやがてPTSDへとまとめられていきました。 症状としてはフラッシュバック(追体験)、回避、睡眠障害などが挙げられます。 |