ギデンズ |
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アンソニー・ギデンズ(Anthony Giddens ; 1938年- )は、イギリスの社会学者、元ケンブリッジ大学教授、ロンドン経済政治学研究所長で、現代社会学に大きな影響を与え、ブレア政権のブレーンとして「第三の道」を提唱したことで知られていますが、アディクションや依存症についても本質的な考察をおこなっています。 1992年、『親密性の変容』(The Transformation of Intimacy: Sexuality, Love and Eroticism in Modern Societies)の中で、ギデンズは、アディクションを生理的現象というよりもむしろ社会的心理的現象としてとらえ、 「アディクションとは、不器用で衝動的な過去の反復である」 と述べており、その特徴を 1. 行為の最中の高揚感 と定義しています。 ギデンズの解釈によれば、依存症は「われわれを、われわれ自身から疎遠にしていくもの」であって、「人はそのために他の人に嘘を言わなければならない行為」ということになります。「われわれ自身」とはこの場合、自分のほんとうの気持ちや道徳性、自分とは何かという認識などをさします。 つまり、薬物を乱用しているアディクションの例でいえば、薬物が悪いものだと思っているからこそ、それを社会的に隠し、悪いと思っている道徳的な自分から自分を遠ざけている、というわけです。 もし悪いと思っていなければ嘘を言わないことでしょう。 |