人格 |
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人格(じんかく)とは、精神医学や心理学においてパーソナリティ(personality)の意味で使われることが非常に多い言葉ですが、これはもともと哲学用語であり、日本人で初めて帝国大学の哲学の教授となった井上哲次郎(1856 - 1944)が、明治時代に英語のpersonality、ドイツ語のPersönlichkeitの訳語としてあてはめた漢語に由来します。 「人格者」という言葉が、ただ「人格を持っている人」であるだけのはずなのに、どことなく「立派な人」を意味してしまうように、「人格」という日本語にはたえず価値的な評価がしみこんでしまっています。 精神医学や心理学でいう「パーソナリティ」には、そういう価値評価があってはなりません。なぜならば、社会的に立派な人であってもそうでない人であっても、治療のためには、その人がその人であることを意味する概念が大切であるからです。そのため、誤解を避けるために人格という語は避けられ、カタカナ書きで「パーソナリティ」で記されるのが正しいとされています。 したがって、そこから派生する「人格障害」という言葉も、患者の人格を否定しているような響きがあるために、日本精神神経学会が2008年に「パーソナリティ障害」に用語改定をすることを発表しました。 |