自我親和性 |
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自我親和性(じがしんわせい)とは、精神医学などで、行動と人間の関係をあらわすときに用いる語で、行動が自我親和的(じがしんわてき / ego-syntonic)であることをいいます。 それは、その行動が自我、つまり自分の心に対してやさしいこと、言いかえれば、その行動を「結局、好きでやっていること」を指します。 依存症が良い例です。 たとえばアルコール依存症で酒を飲み続けている人は、「酒は飲んだらいけないんだよな」と酒を飲む行為を自分から遠ざけつつも、「結局、好きで飲んでいる」という状態にあります。これは自我親和的です。 齊藤學は、自我親和性を、依存症を定義づける特徴の一つに挙げています。 自我親和的の反対は、自我異所的(じがいしょてき / ego-ectopic)である、といいます。 これはたとえば、強迫行為のように、本人は心の底ではいやで仕方ないのだけれど、やらざるをえないという世界観を持っているからやっている、という場合を指します。 もっとも、自我親和的 / 自我異所的という二項対立は、仕事依存症、エクササイズ依存症、サプリメント依存症のように「禁欲そのものの快楽」という逆説的な構造を帯びることもあります。 |