用語集

ブロイラー

オイゲン・ブロイラー(Eugen Bleuler / 1857 - 1939)は、スイスの医学者、精神科医です。農家の息子として生まれ、チューリッヒで医学を修めた後、ロンドン・パリ・ミュンヘンで学び、1927年からチューリッヒ大学で精神医学の教授を務めました。
当時、ウィーンではフロイトが精神分析を始めていましたが、ヨーロッパの学会では異端視され、排斥されていました。ブロイラーは、いちはやくこのフロイトをアカデミックな精神科医であると認め、自分の弟子であったユングを送り込みました。このことが、この時代から後の精神医学の歴史に大きな働きを果たしました。
自閉両価性(アンビバレンツ)などブロイラーの作った精神病理学の概念は今日にも引き継がれています。
またブロイラーは『精神分裂病の概念』(Dementia Praecox or the Group of Schizophrenias, 邦訳によっては『精神医学書』)を著わし、クレペリンの提唱した早発性痴呆(独:Dementia Praecox)を改名し疾患概念を変え、スキゾフレニア(独:Schizophrenie、英:Schizophrenia)としました。これは日本語では精神分裂病と訳され、のちに統合失調症となりました。
早発性痴呆という名詞では形容詞が作れませんでしたが、スキゾフレニアでは作れる(Schizophrenic 分裂症的、統合失調的)ため、そのことが概念の浸透を早めると同時に、その概念を撤廃しにくくさせたと考える人もいます。
日本でも、1980年代ニューアカデミズムのころには「スキゾ・キッズ」「スキゾ人間」などという言葉がはやりました。