用語集

MAO阻害剤

MAO阻害剤(MAOI, MonoAmine Oxidase Inhibitor)とはモノアミン酸化酵素阻害剤のことをいい、日本でも長らく抗うつ薬の一種として処方されてきました。現在は抗パーキンソン薬として認可されています。

脳の中で起こるドーパミンセロトニンの分解をじゃますることによって、ドーパミンやセロトニンの量が少なくならないようにし、それでうつ症状を軽くしようと考えられた薬です。

20世紀の前半には、そもそも結核を治す薬としてイソニアジドやイプロニアジドが使われていましたが、これらを投与した結核患者たちは非常に精神的に快活になるということが報告され、それらを合成して、脳の中のさまざまなモノアミンの量を上げられるのではないかという研究が、1950年代にさかんに行われました。

じっさいに患者を使った臨床実験で、鬱も何例かで改善されましたが、結局、根本的に抗鬱作用との関連を示されることはありませんでした。

ようするに、「これは鬱病に効きます」ということで作られた薬ではなく、「もともとは結核の薬だったが、なぜかはわからないが、どうやら精神的にもなにがしかの作用を及ぼす。ならば抗鬱剤としても使ってみたらどうだろう」といった見地から、うつ症状の改善に使われるようになった、といってよいでしょう。